教室が、ひとりになるまで を読んだので感想を書きます。
殺人事件が起きる、山田くんと7人の魔女
本作の設定を見て、読んで、読み終わっての最初の感想は「殺人事件が起きる山田くんと7人の魔女だな〜」でした。
構成的には珍しく、中盤らへんで敵というか殺人犯がわかる構成になっていて、その点で少し度肝を抜かれました。フーダニットが早々にわかるのは新しいなと。そこからどうやって実行したのか、ハウダニットが展開されていくわけです。
正直真犯人が正ヒロインになるのでは?と思っていた手前、少し驚きました。あぁ普通に犯人なんだ、と。
受取人について
本作では受取人という、学園内でのみ使える特殊能力ホルダーが出てきます。学園の中に4人しかいない受取人。しかも受取人はそれぞれ指名制で後任に能力を引き継いでいく制度。う〜〜〜〜〜〜ん、正直微妙です。
この設定なら、山田くんと7人の魔女と同じく、能力を生徒会などのどこかのグループが管理するように発展していくのではないかなと想像できます。各能力は特殊で、それぞれ発動条件などを秘匿にしないといけないなどの条件はありますが、基本は任意の後輩に引き継げます。その場合、4つの能力を独占、もしくは学園のために使おうとチームになるのが必然だと思われます。なぜバラバラに活動している。しかも33代も続いているのに。
また各能力のパワーバランスが微妙。幻覚能力だけ強すぎるし、好き嫌いが判別できる能力は正直嘘を見破る能力の下位互換だし。治癒に関しては、能力使ったらこれ一発でバレバレだよね?
幻覚能力があるのに、これまで目立った事件が発生していないというのも、不思議なものです。絶対やらかす人いるでしょ。人を殺さないまでも。
真犯人について
普通に殺してましたね。なんらか最後救いがあるのかなと思ったら、普通に殺人者です。能力を使って殺した、というよりか、普通に落としてるんですもん。普通の殺人者じゃん。
能力が失効したからといって、普通にこれからも過ごしていくのは違和感ある。
テーマについて
本作のテーマはスクールカーストについてです。現実にもあるスクールカーストを、めんどくさい方向に尖らせたのが本作です。読み始めた時、絶対こんな高校入学したくない〜〜〜この学年嫌だ〜〜と思ってしまいました。完全に主人公と真犯人サイドの思考ですね。
そのおかげで動機についてはかなり共感性高いです。わかるわかる。こんなおせっかいリア充うざいもん。
最初A組とB組しか存在しないのかと思ってたら、途中でC組も出てきて、少し笑ってしまいました。C組なんでハブられてるの。しかも理由語られてないし。なぜなのか。
総括
特殊設定ミステリを初めて読んだので、その点は楽しかったです。能力についてだけ違和感あるけど、でも難しいんだろうな。自分でも特殊設定ミステリ書いてみたいなと思いました。
次は同じ作者のフラッガーの方程式を読みます。